こんにちは、HokuoGameCatです。現在スウェーデンに住んでいるのですが、オランダのモバイルゲームパブリッシャーでマーケティングを担当しています。
ヨーロッパではゲームやオンラインの仕事はリモート可での求人も多く、特にマーケティングやプロモーション、ローカライズ、QA、サポートセンターなんかのポジションは意外とリモートでも仕事ができます。そんな話を今回は綴っていきたいと思います。
00, チームはどこに?
現在私が働いているゲームパブリッシャーのターゲットは欧米オーディエンスなので、欧米にチームが存在しています。提携ゲームスタジオはウクライナからパキスタン、インドネシアまでとかなり広範囲なのですが、現在アジアには拠点は置いていません。
ちなみに、私の位置は一番北です。
01, タイムゾーンは?
スウェーデンとオランダ間は時差がありません。アメリカは、ヨーロッパが夕方に差し掛かった時に朝になります。なので、ヨーロッパ時間の18時〜20時頃にもっともやりとりが激しくなります。とはいえ、スウェーデンの会社は17時以降働かないのが普通なので、それ以降に連絡がきても返事はしませんし、アメリカ側も返事を期待してません。世界の2カ国以上でミーティングする場合はこのMeeting Plannerが便利です。
02, コミュニケーションツールは?
コミュニケーションはSlackではなく、Skypeで行なっています。これは以前のチームリーダーがSkypeを使っていたというだけの理由なんですが、結構音声も安定していて、スクリーンシェアも簡単なので。
03, 進捗確認は?
タスク管理はTrelloで毎週カードの整理と進捗確認をします。私はマーケティング担当なので、終わったプロモーションの結果や、ソーシャルメディアのエンゲージの増加情報などもここに書き残しています。
04, 時間管理は?
リモートワークはオフィスの時間に縛られないだけあって、ダラダラ仕事をしがちですよね。とはいえ、会社に就業時間を報告する必要もあります。なのでこの時間管理アプリを使用して、どの作業にどれくらいの時間を費やしたか?というのを明確にし、月末に上司に送ります。そうすると「この作業に時間かけすぎだから、ここは削って、ここに注力してくれるかな?」っていう的確なフィードバックがもらえます。
05, 週一定例コール
メールとタスクカードだけでコミュニケーションが事足りるか?というと普通に無理です。なので、月曜日にチーム全員でコールを行います。時間は30分〜1時間で、それぞれの部門の1週間のアップデートを話し合います。各ゲームのアップデート状況、私の受け持つマーケティングに関しては、AppsflyerとGoogle Play Developer Console内のゲームの収益やARPUの状況、提携アドネットワークからの流入の質の情報を共有し、それを踏まえDLを増やす施策を毎週話し合います。他社類似ゲームがフィーチャーされたおかげでオーガニック流入が突然増えていたり、提携アドネットワークがこのゲームにぴったりの金脈のオーディエンスを掘り当てたりすることがあり、1週間でもデータにはたくさんの表情があり、見ていて飽きません。あとの部門はクリエイティブ制作からその制作物をABテストする部門、ゲーム内のクロスプロモーションを行う部門があります。類似のゲームを手がけるパブリッシャーなので、クロスプロモーションはかなり強いです。
06, 言語は?
全て英語です。ゲーム用語やインターネットマーケティング用語は欧米でトレンドが生まれて日本に入ってくるので、日本のゲーム用語やマーケティング用語の70%くらい(肌感)は英語です。とはいえSNS(ソーシャルネットワークサービス)なんかは通じませんし、欧米ではSocial Media(ソーシャルメディア)、ゲームのカテゴリをしめす「ジャンル」は日本独特の読み方で、本来の読み方はGenre(ジョナー)です。でもIT広告用語のCPI、CPA、eCPM、RTBなんかの基礎の用語は当たり前ですが全く欧米圏でも同じです。
07, 実際に会わなくて仕事ができるの?
これは年に1度チーム旅行があるのと、ゲームのカンファレンスなんかで会います。それでも年に数回ですが、それぞれのチームがそれぞれの能力を評価しているので、お互いアドバイスはしあうものの、無駄に干渉したりせず、その部門は完全に独立して任されている感じです。完全に結果主義であり信頼の上に成り立っている感じがすごくあるのが心地よくもあり、結果を出すための新スキル取得の勉強もはかどります。
08, デジタルマーケティングツールはほぼ世界共通
これは個人的な経験からですが、Google AdSence、Google Adwards、Google Analytics、Appsflyer、Facebook Ad manager、Adnetwork、SEO、SEA、Google Play Store,、iTune、Amazon Developerのダッシュボードは全世界共通です。なので海外に出ても十分に使える戦力として作用すると思います。ただ解析ツールはこの他にもたっくさんあって、扱うデータが多ければ多いほど、もっと見所の多い解析ツールが存在しているのですが、それは会社に入ってから新ツールを学べば問題ないと思います。
09, ソーシャルメディア運営は?
ソーシャルメディア運営は広告を出す仕組み自体は日本も海外も一緒なのでターゲットが明確になっていれば問題ないのですが、ソーシャルメディア上でコミュニティを形成するという点においては、ターゲットに合わせた投稿を行う必要があり、少しここは「市場セグメント把握スキル」みたいな能力が必要です。例えば、米国の主婦層向けカジュアルゲームページへの投稿と英国のハードコア向けのオンラインマルチプレイヤー向けの投稿って違いますよね?ハードコア向けゲームなんかはソーシャルメディア上だけではなく、Web上のフォーラムなんかも運営していかないといけないので、少しコミュニティを盛り上げるための経験が必要ではあります。
10, Adnetworkはどうやって探すか?
今、担当しているF2Pゲームは、いかに自分たちのターゲットとするオーディエンスへのリーチを持ったAdnetworkと適切なCPIでプロモーションを行うか?というのがかなり重要になってきます。Adnetworkからの営業の問い合わせはサイトからやLinkedin経由でめちゃくちゃあるのですが、やはりカンファレンスなんかのマッチング機能や他社の類似ゲームで成功したバックグラウンドのあるAdnetworkを選んで、問い合わせをして、コールをしてお互いのニーズが合えばトライアルをする。というサイクルを永遠に繰り返します。下記、ノルディックゲーム2018に参加して来た時のVlogです!
11, 欧米の求人視野も入れることで仕事の幅が広がる
日本では、在宅やリモートワークなんかも増えていると聞きますが、実際のところまだまだな感じはあります。以前はいくつか日系のクライアントの海外広告配信を手伝っていたこともありましたが、やはり継続した仕事はリモートでは取りにくいというのが私の場合の状況で、できるだけオフィスに来てほしいみたいなニュアンスを最終的に醸し出されます。「結果さえ出てればいいんじゃないか?」とも思うんですが、やはり信頼を形成する為に同じオフィスにいることが必要なんでしょうか?それとも海外の人員を雇うにあたり会社役員全員の決議が必要で会って10回くらい面接をしないと雇えないんでしょうか?という話はいいとして、今回言いたいのは、デジタルの仕事(マーケティング、エンジニア、アーティスト等)は欧米のクライアントの求人も視野に入れることで、仕事の幅も広がり、経験値も上がり、給料も破格的に上がる可能性がモリモリです。というのが書きたかったことです。(=競争率もモリモリに上がりますが)
12, 海外で通用するスキルをつける!ではなく、今の経験を活かす
「海外で働いてみたいけど仕事が見つかるか不安」「海外で通用するスキルを!」みたいな謳い文句がたくさんありますが、おそらく今、自分が持ってるスキルで十分に海外でも使えることもあると思います。自分の能力を過小評価せずに、自分はこんなことをやって来た!と胸を張って言えると良いと思います。幼稚園の先生や、花屋さんのスキルだって特殊なスキルで言語さえできればどこでも働けます。ただデジタル上で完結しやすい仕事のスキルはいくつかある職の中でも国を超えてスキルが使いやすい。というのが私の経験です。
ただ、超言葉に依存する仕事、例えば「営業」などは現地の言葉ができないと仕事ができません。その場合は「言語」を習得すればいいだけの話なのですが、ネイティブレベルで言語を操るとなると結構な覚悟での現地の語学習得が必要です。
12, ネットワーキングの重要性
リモートで働いているので会社に行かない分、世界が狭くなると思うかもしれませんが、海外ではめちゃくちゃネットワーキングをしています。興味のあるカンファレンスやコミュニティに入り、いろんなコネクションを作っておくことは、国内・国外問わずすごく重要です。クライアントの紹介や、転職先の紹介、最新トレンドの情報収集と多岐にわたって重要になってくるのがネットワーキングです。
こないだ同僚と行ってきたカンファレンスの様子をちょっと動画にしてます。
まとめ!
途中でちょっと話が海外転職の話みたいになってしまいましたが、これが現状の私の仕事のスタイルです。もう3年近くこんな感じで仕事をしています。私のライフスタイルとリモートワークはうまくマッチしていて、「会社に行かなくてもいいなんて本当に良い世の中になったなぁ」と思います。転職や引越しを結構している私の履歴書を見て「人生に一貫性がない」とか「引っ越し多くて仕事やりにくそう」とか言った日系企業の面接官に「一貫性がないのが俺の魔法だぁ〜!」って今だったら面と向かって言いますね。えぇ間違いなく。
リモートワークってどうやるの?海外でどんな仕事がしやすいの?と疑問に思っている人の参考になれば嬉しいです。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。
今の職場のYoutubeアカウントでチームの働き方を紹介してます。こんな感じで家から毎日仕事してるよーという感じです。2分ちょっとなのでご興味とお時間あれば見てください。
※F2Pモバイルゲーム(特にHiddenObject, Match3)で欧米市場向け配信事情とか実際の配信に関してご質問があればこちらからご連絡ください。