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北欧でゲームのお仕事

地球上の8人に1人がスウェーデンのゲームをプレイしている?ゲーム業界がスウェーデンを救う話

さてー今年もスウェーデンのゲーム業界データがリリースされましたよー!

 今年は動画も制作し「知ってる?この世界の8人に1人はスウェーデンのゲームをプレイしていること」という女性の一言から始まり「キャンディクラッシュは毎月何人の人が遊んでいると思う?1億よ(囁き声)」という良い演出付きです。

 

ということでデータを見て行きましょう!
スウェーデンのゲーム業界に関する最新情報2020(2019年次データ)

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Game Developer Index 2020



 

 

 

サマリーと数字

  • 企業数:58の新規企業が登録され、合計435のゲーム企業会社が存在する。前年比13%の増加。

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  • 収益:スウェーデンのゲーム業界の収益は2019年に23億ユーロ(約2908億円)に増加。これは、2018年と比較して24%の増加となる。

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  • 推移:ほとんどの企業は収益性が高く、このセクターは11年連続で総利益を報告している。

 

  • 雇用者数:ゲーム業界全体で合計9,178人の雇用があり、そのうち5,925人がスウェーデン国内で雇用されている。 スウェーデン人スタッフの採用は依然として困難であり、多くの企業がスウェーデン国外の開発スタジオの買収を通じて拡大している。 スウェーデンでは、従業員数が605人増加し、前年比11%増加である。

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  • 女性の雇用:スウェーデンのゲーム開発の従業員のほぼ5人に1人は女性で、合計で1,226人となる。 全体として、ゲーム会社は23%に相当する2,079人の女性を雇用しており、昨年に比べて22%増加している。

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  • 2019年には、スウェーデン市場で4億ユーロを超える46件の投資と買収が報告された。これらの大部分(21件の取引)では、スウェーデンの会社が買い手であった。

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  • 大手の15社は、会社の利益に対して5億7800万ユーロの税金を支払い、さらに1億ユーロ以上の追加税を寄付した。

 

他の北欧諸国のゲームスタジオ事情

 

スウェーデン以外の国はデータが遅れてますが、みんな切磋琢磨してる感じです!ノルウェーはスタジオ数が多いのに収益が少ないのはインディーやアート系のマス向けじゃないゲームを多く手がけてるスタジオが多いから感はめちゃあります。(私意見)

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ゲームはスウェーデンを救うか?

 ゲーム業界は持続可能で環境にも良い!スウェーデンにぴったりの産業だ!みたいなことが書き出しに書いてあったので、スーパー要約翻訳してみました。これはぶっちゃけ日本もそうですよね。

 

ゲーム業界は2009年には9100万ユーロだった収益が、10年で25倍の23億1800万ユーロへ急成長したと。他の業界、貿易業界を見てみると2019年の紙パルプの輸出額は24億ユーロで、鉄鉱石の輸出は23億ユーロとほぼゲームの業界規模と同額。(もちろん林業全体で行くと113億ユーロの規模であり、様々な形状の精製鋼は66億円ユーロ以上の価値で輸出されている)。ピンポイントな例ですが、ここで脳味噌の体操をしてみましょう。ビデオゲームの輸出額は2016年から2019年までの3年間で2倍になり、多くの企業にとっての大きな収益、価値、公税収入、雇用機会の増加などを生み出している。また環境への影響はどうだろう?データセンターと通信量のエネルギーの消費、あとスタジオのオフィスの賃貸やオフィスに通勤する雇用者の交通機関などが含まれるでしょう。とは言え全体としてゲーム業界の成長は、自然資源の使用、二酸化炭素排出量などの形で環境への影響は他業界と比較してかなり少ない。では、先ほど例に出した鉄鉱石、この輸出額2倍にするためには何が必要か?間違いなく、外貨の変動や世界の市場価格を2倍に出来ればそれに越したことはないが、最も一番現実的なのは現在の2倍の鉱石を採掘すること。その為には有限な資源を継続的に採掘する必要がある。紙パルプにしても同じことが言える。もっと木を切らずに価値を2倍にする方法は難しい、幸いなことに森林は再生可能な資源、だけれど、伐採してから次の木が成長するまで時間がかかり、その量は限られる。ここで提案されている戦略の一つはそれらからより多くの完成品を生産し、それにより付加価値を高めること。何が言いたいかというと、ポイントはビデオゲームが表す価値の創造は、より伝統的な産業とは異なる一種の持続可能な成長ができるという点だ。

 

出典:Game Developer Index 2020

 

 私の感想

いや、1000万人前後しかいない国でぶっちゃけ自然資源もそれ程多くないスウェーデンノルウェーに比べれば)は、頑張ってると思いますよ(なぜ上から?)自国の弱みを強みに変えて尚且つ環境と持続可能性まで考慮して国として国力伸ばす、経済を支える可能性がある業界を惜しみなく支援するスウェーデン政府、地方自治体には本当に目を見張るものがあります。

 

とは言え、日本のゲーム業界はここから大きく学ぶことは少し難しいかなと私は思ってますね。日本は国内市場がそこそこあるので(あったので)国内だけに目を向けていれば良かったのが、ここ数十年で変化してきてグローバル化の波に乗れてないと。とは言え、どうやってその波に乗れと?北欧圏は欧米コンテンツで育って来た人が多いから馴染めるかもだけど、日本人は欧米コンテンツから隔離されて育ってきてる中で欧米に向けてコンテンツ作れって言われてもそれこそ無理ゲーでは?欧米的なカートゥーンスタイルキャラの人気のソシャゲを作れと?それもうゲームじゃないしコピーだし、コピーだって結構な制作日数かかって開発終わった頃にはブーム終わってるわ!コピーだと開発者もモチベーションだだ下がりだし。そんな開発者が楽しめないゲームなんて作ってて地獄だし、売れなかったらもっと地獄。なので、もう日本はこれまで培ってきた独自の文化を突き進んで、もっと自由や独創的なゲームや、品質の高さをどんどん追求していって後にそれらが文化・芸術になる。みたいなレベルで突き進んでいってくれればいいんじゃないかなと私は思っております。

 

日本が一つスウェーデンから学べることがあるとすれば、日本政府、文化省がゲームを日本の誇れる文化として認めて、助成金をもっとたくさんのクリエイターに支援すること。また地方自治体でゲームのコミュニティ形成に予算を投じること。そういうことかと思います。



<余談>

ちなみに、スウェーデンのゲーム業界の収益は2019年に23億ユーロ(約2908億円)と書いた後に、任天堂の2020年3期の純利益が2586億円という決算説明資料を見て、この記事を消そうかなと思いましたが、頑張って最後まで書けました。誰かヨシヨシしてください。